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知識の杜

「運動処方せん」とは?

最適な運動とは?

運動すると「何となく」健康になるイメージがありませんか。
運動すると気分爽快になりますし、適度な疲労感で充実感が得られますよね。

確かに運動は適正に実施すれば、健康増進や多くの病気の治療や予防に役立ちます。ある目的を持って行う運動、これを「運動療法」と言います。
しかし、体に良いと思われている運動も、適切に実施しないと十分な効果が得られないばかりか、危険なこともあることは意外に知られていません。

皆さんは薬の服用には処方せんが用いられていることはご存知だと思います。
処方せんには、薬の種類、用法、用量が書かれています。
どのような薬を、どのくらいの量、どのタイミングで服用するのかとても重要です。どんなに良い薬でも大量に飲んだら命に係わるかもしれませんし、ごくわずかしか飲まなかったら効果がないでしょう。また、副作用にも注意しなければなりません。処方箋の目的は薬による治療が安全に、かつ最も効果が得られるように医師が指示するものです。

病気の治療の中で、薬を用いた治療は薬物療法と呼ばれています。一方で、非薬物療法と呼ばれるものも存在します。運動療法は非薬物療法の代表的なものです。

薬の「処方せん」とくらべて聞き慣れないとは思いますが、実は運動療法にも処方せんが存在します。それが「運動処方せん」です。薬と同じように、運動も方法や量、行うタイミングを間違えると、効果がないばかりか健康を損なうこともまれではありません。

つまり運動処方せんとは、
貴方の運動の目的に沿って、個々の運動内容を具体的に指示する、
医師からの
あなたへのメッセージです。

それでも、
運動なら自己流でも出来るとの声が聞こえてきそうです。
例えば、公園を散歩している人がいらっしゃった場合に
散歩の目的は何でしょうか。
気分転換、ダイエット、美容目的でしょうか。
心臓病にかかったことがあり、再発予防や健康維持が目的でしょうか。
筋肉、関節などの運動器系が衰えたために回復を目指して行うのでしょうか。
実は目的によって、適切な歩行スピードは異なるのです。

目的によってどのような運動が適切なのかが異なります。
どのような種類の運動が良いのでしょうか?
運動の強さはどのくらい?
一回の実施時間はどのくらい?
頻度は週に何回でしょうか?

つまり適切な運動とは、目的をしっかり定めて、そのための方法を明確にすることから始まります。

また適切な運動には、万人に当てはまる王道のようなものはありません。
それは、
一人ひとり顔や身長が違うように、その人にとっての適切な運動は異なりますし、
同一人物でも、その時々の体力や目的によって、違ってきます。一生同じ運動内容が必ずしも適切なものとは限りません。
なぜなら、
人の健康状態は年齢の影響を受けていますので、昨年と本年の内容が必ずしも同一ではありません。健康も日々変化しますし、体調の変化、持病の状態により影響を受けます。
つまり、
運動処方に基づいて、一人ひとりにその時々で最適化された内容で継続的に行っていくことが重要です。
その最適化された内容が記載されているものが「運動処方せん」なのです。

私たち日本遠隔運動療法協会と一緒に、
健康寿命の延伸、疾病予防対策を目標に
自身に最適化した運動処方せんに基づいて
運動療法を続けていきませんか。

 

→「運動処方せん」の例
→「運動処方せん」はどこでだしてもらえる?
→「運動処方せん」はどこでもらえる? 協力医療機関

2021年11月
日本遠隔運動療法協会(JARET)